貧民窟で母親の閨の相手をした多指症の男娼が指を切り落とし、釧路の夜の支配者へのしあがる。著者新境地の釧路ノワール。2011年10月号から2014年7月号までの『オール讀物』掲載(全8編)をまとめて単行本化。
※桜木紫乃(1965年北海道釧路市生まれ。高校卒業後、裁判所でタイピストとして勤めたが、24歳で結婚して退職し専業主婦に。2児を出産直後に小説を書き始め、42歳になる年に『氷平線』で単行本デビュー。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。2013年「ラブレス」で第19回島清恋愛文学賞、「ホテルローヤル」で直木賞受賞。2020年「家族じまい」で第15回中央公論文芸賞受賞。主な著作に「氷平線」「硝子の葦」「ブルース」「氷の轍」「緋の河」「孤蝶の城」「ヒロイン」「彼女たち」「谷から来た女」「青い絵本」「裸の華」「人生劇場」など。趣味はストリップ鑑賞)
●想像を超えるエロティシズム
ノワールとはフランス語で「黒」の意味で、犯罪小説の一種のこと。そんな事も知らず、内容さえ確認せず「ブルース」というタイトルだけから、桜木紫乃さんらしい心に浸みる作品だと思って図書館でたまたま手に取り、いざ読み始めると、とんでもなくハードボイルドで、想像を超えるエロティシズムにあふれていた。「すご」という言葉しかない。
どの作品も影山博人の〝巧さ〟で女性が陥落されていく様が官能的に描かれているが、ただひとつ、タイトルになった「ブルース」だけは〝下の町〟の幼なじみに対してはそんな気配もなく、逆に窮地をカッコ良く救っている。あれ? と思ったが、ちょっと救われた感じがした。だが、「ストレンジャー」はエグ過ぎるぞ(^_^;
続編の「ブルースRed」も読まなくては。
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